南海トラフ地震の発生確率

南海トラフ地震の発生確率は30年以内で70~80%だとする報告書が発表されたのをご存知でしょうか。

これは2018年1月中旬に政府地震調査委員会が公表したものです。

万が一地震が発生すると30万人もの被害者が発生すると算出されており、時間の経過とともに地震発生リスクも高まります。

推定されている震源地は、フィリピン海プレートとアムールプレートの境界線であり、太平洋プレートと北アメリカプレートの境界線を震源地とする東日本大震災と同じ海溝型地震です。

その境界線は、静岡県の駿河湾から南西へ向かって九州沖にまで延びており、長さ約700㎞もあります。

中部地方の愛知県から関西南部の和歌山県や三重県、四国や九州沿岸部に達するため、広範囲に被害が発生すると予測されており、今後最も注意しなければなりません。

およそ90年~200年周期で発生する

東日本大震災は、1000年に1度や400年に1度発生する超大規模な地震とされていますが、この南海トラフ地震な何年周期で周期で発生するのでしょうか。

研究者によって様々な見解がありますが、おおよそ90年~200年周期で発生すると考えられています。

地震が発生する仕組みは、プレートに動きにあります。

フィリピン海プレートは、日本列島の下にあるユーラシアプレートに向かって沈み込み、この動きがユーラシアプレートにストレスを与えます。

そのストレスが限界に達したとき、沈み込んだフィリピン海プレートを押し戻そうとする力によって地震を起こします。

この際に生じるエネルギーは、M8クラスの地震であった関東大震災に匹敵します。

また2011年に3月11日に発生した東日本大震災は、M9.0であるため、それに次ぐ規模になります。

南海トラフ地震について

南海トラフ地震は、90~200年周期で発生すると説明しましたが、過去において震源地に推定されるプレート境界で海溝型地震が発生しています。

直近で発生した1946年12月21日に昭和南海地震は、和歌山県の南南西沖の78㎞が震源地とされており、M8.4の規模でした。

東日本大震災では、東北地方内陸が巨大な津波に襲われたように、この昭和南海地震においても津波が発生し、紀伊半島南部や四国、九州に大きな被害をもたらしました。

特に高知県の四万十市、須崎市、高知市、和歌山県南丹にある串本町や海南市などが被害を受けています。

また四万十市では、地震により住宅などが倒壊して火災も発生、そこに津波が襲いかかるという海溝型地震特有の被害も生じており、行方不明者を含めた死者は1443名、全壊した家屋は1万1591戸、半壊した家屋は2万3487戸、流出した家屋は1451戸、火災による消失は2598戸でした。

政府が出した被害予測のシミュレーション

すで政府は5つのシミュレーションに基づいた被害予測を算出しており、南海トラフ地震が発生すると最大の30万人の死者・行方不明者が出ると考えています。

5つのケースは、駿河湾から紀伊半島おきにかけて大規模・超大規模に発生する地震、紀伊半島沖に発生する大規模・超大規模地震、紀伊半島沖から四国沖にかけて発生する大規模・超大規模地震、四国沖に発生する大規模・超大規模地震、四国沖から九州沖にかけて発生する大規模・超大規模地震になります。

震源地になるであろうプレートの境界は、約700㎞もあるため、このいずれかのシミュレーションに近い形で発生すると考えられているのです。

南海トラフ地震は、太平洋沿岸自治体だけの問題ではありません。

東日本大震災を思い出してみましょう。

三陸沖でM9.0の揺れが発生した東日本大震災は、東北沿岸部から北関東に達する多くの地域でM6+~M7の揺れを生じさせています。

また東北地方に隣接するエリアではM4、東海や関西ではM2~M3、中国四国九州ではM1~M2の地震を発生しました。

南海トラフ地震でも震源地に近い名古屋市や大阪市、神戸市、といった大都市もダメージを受ける事になります。

またこれらの自治体は海と接続しているため、津波被害も想定されます。

長周期地震動も懸念されている

長周期地震動も懸念されています。

地震は一定間隔で地面を揺らしますが、この一往復にかかる時間のことを周期といい、大きな周期のものを長周期地震動と呼んでいます。

この長周期地震動は、長周期パルスとも呼ばれており、高層ビルに大きな影響を及ぼします。

地面が大きく揺れると高層ビルも揺れ始めます。

長く大きく揺れる長周期地震動とビル固有周期が一致してしまうと建物も大きく揺れてしまうため、エレベーターを始めとするビル内の設備がダメージを受けたり、株式会社キーマン曰く老朽化していたり耐震対策を施していないビルだと最悪の場合、倒壊するリスクも指摘されています。

この長周期地震動は、震源地から数百km離れていても被害を受けることも知られています。

有名なのが、2003年に発生したM8クラスの十勝沖地震です。

この地震では、震源地から250㎞も離れていた苫小牧市の石油コンビナートが、長周期地震動により被害を受けて火災が発生しているため、震源地から数百㎞離れていたり、内陸部であったとしても安心・安全とは言えません。

最終更新日 2025年7月9日