最終更新日 2024年3月31日

KRH株式会社という企業を知っている人は多くないでしょう。
しかし、たいていの人は間接的にお世話になっており、この企業がなければ現在の生活環境は実現できなかったかもしれません。
一般的な知名度は高くありませんが、建築業界では広く知られた存在となっています。
なぜなら、こちらは足場を製造する分野におけるパイオニアだからです。
この製品がなければ、いろいろな建物をスムーズに造れなくなってしまいます。

昭和60年を迎える前にくさび式の足場が登場

昭和60年を迎える前にくさび式の足場が登場しました。
今では建築現場に欠かせないものになっていますが、当時すぐに普及したわけではありません。
なかなか導入しようとしない現場監督もいたぐらいです。
そのような状況でしたが、こちらの技術者たちはその有用性に目を付けました。
ポテンシャルを十分に活かせば、これまでにないほど多くの建物に対応できるはずだと考えたのです。
低層を中心に使われていましたが、これからは中層にも十分に対応していけるというのが当時の予測でした。
しかし、そのためには機能性をもっと高めなければなりません。
そこで問題になったのがコストがアップすることです。
機能を改善すると、その分だけ高くなってしまいます。
一般的に、建築の現場では少しでも節約しなければなりません。
大手のハウスメーカーを除き、個人経営の工務店などはわずかに利益が出るぐらいまで出費を切り詰めています。
そのため、いくら魅力的な足場を用意しても、価格の面で魅力を感じなければ導入してもらえません。

製造だけでなくレンタルも手掛ける

ですから、経済性を高めることもKRHにとって大きな課題になっていました。
その結果は現代における高いニーズをみれば明らかでしょう。
製造だけでなく、設計からすべて見直すことで上記のハードルをクリアする製品を生み出すことに成功したのです。
製造だけでなくレンタルも手掛けるなど、利用のすそ野を広げる活動にも精力的でした。
サポートの体制もしっかり整えるなど、少しでも多くの人に使ってもらいたいという想いに突き動かされて、あらゆる施策を講じていくことになります。
簡単に聞こえるかもしれませんが、どれもこの業界においては異質なことばかりです。
そのため、一筋縄ではいきませんでしたが、営業スタッフや熟練の設計技術者たちが連携することで理想の製品として仕上げられました。
あらゆる現場に対応しうる最適な仕様になったと自負しています。
建物の多様化により仮設のバリエーションも増えているのが実情です。
それも踏まえたうえで理想的な製品であり続けるように改善の努力も続けています。

くさび式を長らく担当してきた開発陣を集結させた

もちろん、メーカーとしての責任を強く感じながら取り組んでいきました。
新しい工場を設けて最新の設備をそろえたことも、そのスタンスが経営理念の根底にあったからです。
鉄鋼の加工からメッキの処理までワンストップで行える必要があると考えました。
外注しないで自社で管理することが、全体の安全性を高める最良の手段です。
さらに、くさび式を長らく担当してきた開発陣を集結させたこともポイントといえます。
豊富な知識とスキルが一堂に会することで、耐久性や精度において他との差別化を実現できたからです。
同社が製造する部材はさまざまな観点で高品質となっています。
たとえば利用や加工だけでなく、ストックする場合の柔軟性にまで気を配られているのです。
これは現場を第一に考えているからこそ思い至れる境地であり、パイオニアならではの技術の結晶と表現できます。
現代社会ではリユースが注目されていますが、それは仮設の世界においても同様です。
むしろ世間で流行する前から取り入れられていました。

レンタルに関する賠償責任も準備

そこに着目したKRHはレンタルのシステムを取り入れたわけです。
緊急の依頼にもスムーズに答えられるように、供給する仕組みをしっかり確立してあります。
新品と同じように使用できることが大事なので、安全性と信頼性の向上に取り組んできました。
どのような場合でも、腐食や金属疲労がないか入念にチェックしたうえで届けるようにしています。
さらに、レンタルに関する賠償責任も準備するなど、安心して利用してもらうための工夫に抜かりはありません。
もちろん、レンタルした後に正しく使ってもらうことも重要なので、マニュアルなどの情報も幅広く充実させています。
なお、取り扱いは自社製品が中心ですが、互換性の面で問題のない資材なども対象です。
仮設に関して詳しい人は、くさび式よりも枠組式のほうがニーズが高いと思うかもしれません。
たしかにシェアだけで見ると枠組式がまだ主流といえます。
ただし、KRHはこの勢力図が長く続くとは考えておらず、将来的にはくさび式がトップになると確信しているのです。

まとめ

なぜなら、くさび式は安全性やコストなどあらゆる観点で枠組式を上回っているからです。
KRHはそれを現場の人々に理解してもらいたいと考えており、より快適に仕事ができる環境を実現していくことを重大な任務と捉えています。